命を救ったライフジャケット
●釣行日:2019年4月19日
●ポイント(場所):三重県沖磯
●お名前:トビハゼ
●使用フック/サイズ:ゲームフローティングベスト3、ゲームグローブ
●魚種/全長(cm)-
久々の投稿ですが、釣果レポートではなく、あってはならない事ですが、高波に飲ま
れ4時間漂流した後、救助された体験談です。
少しでも自分の経験が釣りをされる方々の参考になればと思い、恥ずかしながらブロ
クにアップさせてもらいました。
当日は数日続いた雨もなく、天気は晴。しかし、低気圧の影響が残り、強いうねりが
残る状態でした。その為、望んでいた磯に上がることが出来ず、波の影響に強い足場
の高いポイントへ。過去に何度か渡してもらったところなので、勝手が知れていると
甘くみていたのが今回の事態に繋がることになってしまいました。
準備を終え、大きく切り立つ岩を乗り越えた沖に面するポイントへ向かおうと移動す
る最中、その大きな岩を軽々と越える大波がぶつかり、激しい波しぶき…。
その状況を見て、「やばい!釣りどころじゃない!」と逃げたものの、波の勢いとスピードは
想像を超えており、寄せる波に足を取られ、引き波に身体を海に引きづられてしまい、
あっという間に沖に払い出されてしまいました。
「終わった…」落水した瞬間、絶望しました。でも、ライフジャケットを着用してい
た為、身体を安定して浮かせることが出来るました。浮いていられることにより、
「見回りの船が来るまでは、何としても持ち堪えよう!」という気持ちが起こり、助
かる手段を探りました。
まずは、泳いで磯まで戻ろうと試みるも,防寒を纏った状態ではうまく泳ぐことは出
来ず、ましてや強いうねりの中では為す術も虚しく、殆ど前進することが出来ません。
次にとった行動は、緊急連絡を取る事。携帯電話の電波が届かないポイントでは
あったものの、少しでもチャンスはないかと期待し、携帯を防寒から取り出し、海上
保安庁や渡船屋に何度か連絡を試みました。しかし、残念ながら、やはり電波は入ら
ずじまい。
そうしている中、磯釣りのエキスパートである年長の釣り仲間が、磯での釣りを始め
た頃に教えてくれた言葉を思い出しました。
「万一、落水した時は、磯に戻ろうとせず、沖の方で船が助けてくれるまで、浮いて
おくようにするんだよ。」と。
その教えに倣い、浮いて待つ事に。その間、時折、高波で海水を飲んでしまう為、都
度、海水を吐き出しながら、何度も何度も時計を確認し、「早く、助けて!」と心の
中で何度も叫びました。
落水して、4時間ちかく立った午前9時30分ごろ、頭上にヘリが飛んでいるのを確認す
ることが出来ました。必死にロッドを握った手を振って、助けを求めました。
やがてヘリが何度も旋回することが確認出来たので、「救助に来てくれたんだ!」と安堵
し、それと同時に、「大丈夫!助けに来たぞ!」何処からともなく、声が聞こえたと
思ったら、船が近づき、一瞬で身体を海から引き揚げ、救助されました。
引き揚げられた瞬間から港に着くまでの間、気を失ってしまいました。安心してホッ
としたから気を失ったのかと思いきや、引き揚げられた事による、急激な体温の変化
で、大抵の人は気を失うようです。
救急車に乗せられた時には、救助してくれた方々の適切な対応により、
意識を取り戻しており、そのまま病院へ運ばれ、低体温(病院へ着いた時の体温は31°C)
と海水を飲んだ影響による軽い肺炎とのことで、暫く入院する事になりました。
幸いな事に、磯場で転がった事による身体への大きな怪我は無く、左手を少し切った程度でした。
様々な幸運が重なり、こうして生きていられると思いますが、海上保安庁の方が教え
てくれた、自分が助かった点を総括すると大きく3点、
①安全には気を抜かない事
ライフジャケットを正しく着用する事。また、気温の低下や外傷を防ぐためにも、
しっかりとした服装で釣りをする事。
②複数人で釣行する
万が一、事故が起きた場合、複数人で行けば誰かが、異常事態を知らせてくれます。
今回は仲間2人と釣りに行きました。携帯電話の電波が入らず、沖磯に残された二
人は必死で地磯に釣りに来ていた人に異常を伝えてくれました。
③万一、落水したら、じたばたせず浮いて待ち、体力を温存する事
無理に泳がず、動かず、助けが来るまで、浮いて待つようにしてください。
落水した自分がいうのも、なんですが、海況が荒れた日には、無理をせず、その日の
釣りを潔く諦めることも必要です。命あって、初めて釣りが楽しめます。
僭越ながら、一つ提案なのですが、来年モデルチェンジ予定のゲームフローティング
ベスト、配色をグレーだけで無く、白やオレンジなど、目立つ色のモデルの企画、も
しくは目立つ差し色を入れる等、検討頂けないでしょうか?救助に携わった方から、
海と同化して、船からだけでなく、空からでもなかなか見つけ難かったと教えていた
だきました。
最後にこの場を借りて、海上保安庁、日本水難救済会、警察、消防署、病院、渡船
屋、救助に関わった全ての方々、そして当日同行してくれた釣り仲間に改めて感謝申
し上げます。
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