最高のオリオンビールを求めて2016
●釣行日:7月2日~4日
●ポイント(場所):沖縄県北大東島
●氏名:スタッフ西浦(担当者2)
●使用ルアー:シンキングペンシル、GTハリアー、グランツ、サスケ130剛力など
●使用フック/サイズ:リングドゴリラ3/0~4/0他
●使用メインタックル/クワトロブラックシーゴリラ105HH+キャタリナ5000H+撃投PEフラッシュ5号+スペーサーリーダーPE12号+リーダー170LB
●魚種/全長(cm):カスミアジ、ツバメコノシロ
昨年味わった人生で一番美味しかったオリオンビール。
あの快飲をずっと忘れることができず、今年もつい沖縄県北大東島へ足を運んでしまいました。
宿は昨年と同じく二六荘さんを利用。
同行の松坂さんが愛してやまない島情緒溢れる民宿。
飛行機の到着に合わせて空港まで送迎にきてくれます。
初日はフライトスケジュールの都合上、夕マズメのみしか釣りができませんので、チェックインの後は急いで準備。
二度目とあって、必要なルアー、タックル等は把握しているので、初回に比べると荷物はだいぶコンパクトになりました。
予報では波が1~1.5mほどとベタ凪ですが、絶海の孤島だけあり、風表の磯ではそれなりに波が出ますので、まずはそれを期待しての風表狙い。
島では梅雨がすでに明けているため、風表でないと恐ろしいほど暑くて釣りがしにくいというのもあります(笑)
宿のレンタカーで10分ほど走るとポイントに到着。
駐車スペースからは5分ほどで波打ち際まで下りることができますが…昨年も書きましたが大東島の磯は一部を除き非常に荒く、薄く、鋭利なため、転倒すると確実に大怪我。
慎重に歩を進めなくてはなりません。
磯には薄いながらもサラシができていましたが、晴天で底が丸見えな状態でしたので、食いが渋いことを想定して食わせる力が強いシンキングペンシルをセット。
フックには定番のリングドゴリラをセレクト。
遠投して水面直下をジャークして広範囲をチェックしていきました。
エントリーした場所から100mほど離れたサラシを攻めていると、サラシの下にルアーをチェイスする数匹の魚影が一瞬見えたので、サラシが薄くなるタイミングで激しくジャークを数回加えると、ルアーを奪い合うようにその中の1匹がヒット。
ヒットした瞬間から鮮やかなカスミアジの姿が見えたので、激しい抵抗に備えるべく腰を落としてファイト開始。
ただし、ラインブレイクやすっぽ抜けの際に転倒しないよう、後方にはあまり体重はかけられません。
カスミアジは短距離走選手。
ヒット直後からしばらくは驚くほど激しく抵抗しますが、比較的早めに弱るので、磯にリーダーが擦れないように注意しながら疾走に耐えていると、1分ほど(体感的に)でバテてくれたので、寄せ波に乗せてランディング。
8キロ弱ぐらいのカスミアジとしては良型でした。
開始早々のヒットに気を良くしたものの、いつものようにその後は何もなく、初日を終えることとなりました。
宿に戻り、夕食と翌日のための補給を済ませ、シャワーを浴びた後はオリオンビールを飲みながら明日の準備&打ち合わせ。
21時過ぎにはお互い眠気を覚えたため就寝としましたが、疲れていた割になぜかなかなか寝付けませんでした。
身体が熱帯に慣れていないせいでしょうか。
翌朝は3時に宿を出発。
実績の高い岬の先端部を目指しますが、駐車スペースに至る道は工事中のため車が入れず、だいぶ離れた場所からのエントリーとなりました。
闇夜のため、灯りを消すと周囲は真っ暗。
中天を見上げると、思わず息をのむほどの星空が広がっていました。
灯りが少ない絶海の孤島は、天体観測にも最適。
南北に流れる天の川の流域が全て見えそうなほどの絶景でした。
このまま眺め続けても良いかな…という誘惑を断ち切り、ヘッドライトの明かりを頼りに20分ほど歩くと、ポイント周辺に到着。
タックルを準備し、夜が明けるのを待ってから磯際へ降りてきました。
トップが視認できないようなローライト下ではミノーの出番。
この島ではピックアップ時にミノーのリップが折れることが多いので、リップレスタイプをメインに使います。
今回はサスケ剛力130にリングドゴリラ2/0をセット。
サラシの中を通すと、数キャスト毎に何かが「コツン」と当たってきますがなかなかフッキングしません。
乗せるためにミノーが泳ぐかぎりぎりの速度で巻くと何かがヒットしましたが、合わせるとすぐに水面を割りました。
釣れたのは40cmほどのツバメコノシロ。
人生で初めて釣った魚でしたが、ボラのような…コノシロのような…あまり好みではないフォルムだったので、勝手に美味くない魚だと判断してリリースしましたが、後で調べると結構美味とのこと。
惜しいことをしました。
日が上がり、トップが視認できる光量になるとGTハリアーにチェンジし、棒引き&ダイブを繰り返します。
まずは回遊待ちをして、ある程度明るくなったらサラシ打ちに切り替える作戦。
しばらく投げ続けていると、サラシの切れ目で何か良さげなサイズの魚が出ましたが、フッキングには至らず。
恐らく前日と同じぐらいのカスミアジ。
もう一回出ろと集中しましたが、その後は何の音沙汰もありません。
サラシ打ちに切り替えるも岬周辺では反応はなく、仕方ないので駐車場所へ戻りながらランガンすることに。
前回とは違い、魚影が全体的に薄く、ここぞというポイントにも反応はなく、時々小カスミがチェイス&ヒットするのみ。
そんな中、「あのワンドの入り口付近釣れそうやわ」と、ワンド入口の岬を狙い撃ちした松坂さんにカスミアジがヒット。
初日の私が釣ったものよりも大型。
今年はカスミの魚影が薄い代わりに型が良いということでしょうか。
その後は波裏も含めて実績ポイントを叩いたり、新しい地磯への道を探すためにサトウキビ畑の周囲を歩き回ったりしましたが、目立った出来事はなく終了。
宿に戻ると急いでシャワーを浴び、食堂でビールをゴクリ。
夜明けから日暮れまで、炎天下のなか険しい磯を歩き回り、重たいロッドを振り続け、頭から潮を被り続け、日常生活ではありえない苦行を終えた後、水分を欲している体に冷えたオリオンビールを流し込む快感は、やりきった者にしか味わえないまさに甘露。
この瞬間、この充実感を味わうためだけでも、私にとってこの島を訪れる価値は十分です。
前日に釣ったカスミアジのマース煮と刺身が、満足感に追い打ちをかけてくれました。
最終日は1.5mのち2mとやや波気が出るということで、昨年GTがヒットした大型ワンドから攻めることにしました。
道路から近いポイントなので、起床は3時半。
暗い道をポイントまで走っていると、ヘッドライトの先になにやら大きな黒い影。
「あれは写真撮らなアカンやつや!停まって!」と珍しく松坂さんが大きな声を出したので、急いで路肩に車を停めて影に向かって歩いていくと、そこには大きなヤシガニの姿。
人生で初めて見たヤシガニは、意外に素早く、思った以上にごつごつしていて、どちらかと言えば気持ち悪いレベル(笑)
もの凄く美味しいらしいのですが、貴重な生物なので写真に収めるだけに留めておきました。
あとで聞いた話ですが、島のヤシガニは乱獲の影響で激減しているとのこと。
持って帰らなくて正解でした。
到着したワンドには良いサラシが広がっていました。
前日と同じようにミノーからスタートし、反応が無かったのでGTハリアーに。
このワンドには必ず回遊してくると信じ、ワンドに追い込まれるベイトフィッシュをイメージしながらしばらく投げ続けていると、サラシにルアーが入った瞬間何かがひったくりましたが、残念ながらフッキングせず。
その後反応がなかったため、サラシ打ちに切り替えましたが、特に目立った反応はありませんでした。
一度車に戻り、少し移動して最後のポイントへ。
シャロー主体の磯ですが、少し水深があるサラシも点々としてます。
ランガンして探り歩いていくと、ドン深で濃いサラシの磯際で良型カスミのバイトがあったものの、今度もまたフッキングせず。
ラストチャンスを願って投げ続け、探り続けましたが、その後はハタやベラのチェイスのみで、納竿の時間となりました。
今回の遠征では、GTの気配は全くなく、シラスのようなベイトフィッシュばかりで、どちらかといえば釣り的な状況は良いとは言えませんでした。
何を以って遠征釣行の成功とするのかは人それぞれですが、釣れるのはもちろん良いことですけど、離島といえども常に魚が沢山いるワケではないので、島で過ごす時間を楽しんだり、何らかの形で満足することさえできれば、私はそれでその釣行は成功したのだと思います。
島の周回道路を走っている時につぶやいた「釣果だけなら他にもっとええ場所があるねん。でも俺はこの島が好きやねん」という松坂さんの言葉に、私も強く同感します。
自分の価値観で釣りを楽しむことこそ、ショアゲームの楽しさの本質だと思いますので。
実は今回、釣りに関して「あるテーマ」をもって釣行に挑んだのですが、おかげで良い経験をすることができました。
これを活かすため、来年もこの島を訪れたいと思います。
最高のオリオンビールを、また味わうために。
次は満天の星空の下で呑みたい。
私にとっても「釣りは、旅」なのです。
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