ヒラスズキ狙いのはずが、まさかの怪魚出現
●釣行日:2019年12月2日
●ポイント(場所):愛媛県佐田岬
●お名前:カルティバフィールドテスター橋本健二さん
●使用ルアー/ジグ:KM工房/グロバス95(キビナゴカラー)
●使用フック/サイズ:STX-45ZN #2(スプリットリングハイパーワイヤー#5で接続)
●魚種:オオニベ16.5kg
「おかしい」
波気立つ磯を前に思わず首をかしげてしまった。
全国各地、その地域ごとにヒラスズキに向く風向きというものがある。これまで自分は南西の風を得意としていた。それが、ここ数年、北の絡む風で成立するパターンを新たに追加できたことで、冬場に強い釣りが展開できていた。
北西の風、波2.5m。最高の条件。いままでの記憶では外した記憶がないほど条件がそろっている。雰囲気もいい。だが、何の反応もない。大型のヒラスズキはもちろん、60㎝クラスのフッコのアタリすらない。魚釣りであるから、人間に目によく見えても釣れないことはある。それでも。それにしても、まるで反応がないのはおかしい。いつもなら、80㎝を楽に超えるヒラスズキの反応が出ているはずなのに。
シンキングペンシルを入れてみる。
小さいポイントであるがゆえに、これまでは3投に1回のペースでミノーをローテーションしていた。そして10投以上、済ませた。アタリ、ゼロ。ここで、シンキングペンシルをいれてみる。ダメもとである。アクションのローテーションではない。シンキングペンシルを入れた理由は、レンジを下げるため。つまりボトムを攻略するため。バイブレーションでもいいのだろうが、なんとなくリフト&フォールでねちっこく執拗に探りたい気分だったのだ。直感。それ以外に説明する言葉はないが、恐らく目の前にいるであろう獲物が遊泳力の優れたスプリンターではないような雰囲気を感じ取っていた。
1投目。無反応。2投目。3度のリフト&フォールでモソリと何かに触れた、ような気がした。次の1投。念入りに、よりボトムギリギリまでレンジを下げ、リフト&フォール。
ゴクッ
叩き込んだアワセに驚き、しかし、跳ねず、ドラグをものともせずに沖へ沖へ沖へと走る。ズシリ、ジリジリ、ギリギリギリッ。その泳ぎをやめない。
「ヒラスズキ、なのか!?」
ともかく重い。1mを超えるヒラスズキは何本となく取り込んできたが、そんな10㎏かそこいらの重量感ではない。
「重い。魚か!?」
たしかにバイトのようであり、魚だと確信してアワセたはずだった。しかし、この感触は魚というよりもむしろエイ。重さの感触が10kgを明らかに超えていて、青物ではない引きで、重々しい感触とくればホシエイが頭をよぎる。
ゴッゴッ、ゴッゴッ。
「いや、頭を振っているな。これはエイではない。魚には違いない。なんだ?マダイ?10kg級の化け物か!?」
時折、手元に来る首振りの感触に獲物が魚であると確信をえた。メインラインは1.5号、リーダーは35ポンド。1m10㎏の獲物なら何度も取り込んできた信頼のラインではあるが、未知の相手となるとさすがに無理はできない。
とはいえ、最初のファーストランを交わしたあとは、徐々に距離を詰めることができている。
「マダイ、、、、、、じゃない。えっ、ヒラスズキ!?!?」
薄明りに横たわる魚体は見たこともないほどの巨大さで、一瞬、マダイと見間違うほどの体高ではあったものの、色が銀白色をしている。荒れる海面で無理やり、なんとかランディンネットに巨体をおさめ、引き上げる。そして明るい場所へと移動し、その獲物の正体を知る。
「あぁ、なるほどオオニベか」
宮崎県から回遊してきたのか、昨今、オオニベの釣果情報が全国のあちらこちらで聞かれるようになった。自分の住む愛媛県でも少なからず釣果は聞く。とはいえ、自分自身、初めて釣った獲物に違いない。その大きさは16.5㎏。
「もしかしたら、狙って獲れる、かも、しれないな」
新しくターゲットに仲間入りを果たした、オオニベという巨魚。果たして2匹目を手にするのはいつになることだろう。あるいは、案外、すぐに達成されるかもしれない。
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