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2016.06.28

【担当者より】・釣りは、旅

魚拓をとっていただきました。

佐渡島で先日、わたしのルアーをくわえてくれた平政

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自宅でいま、ぼーっと見ています。

もう、小一時間も眺めています。
魚拓からは平政の匂いがしてきます。

魚拓は目が命です。

もちろんわたしはこんなに上手に魚拓をとる技術はもってません。

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佐渡島でお世話になった尖閣荘渡船の西野さんのアドバイスで
島の山田釣具店さんにお願いして魚拓をとっていただき、後日送っていただいたものです。

 

決めていました。

思いでのつまった魚が釣れたら

写真ではダメだ。軽すぎる。
剥製では、なまなましすぎる。

「魚拓」にする。と。

魚拓に入れる文字を何にしようか?
いろいろと思い巡らしています。

この文章をいまスマホで書いているのですが
目の前のヒラマサの目が、わたしを見ている。

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写真ではダメでした。ヒラマサがわたしを見ない。
剥製では、生々しすぎて、個人的には、なにか、魚に申し訳ない。

やはり魚拓で間違いはなかったなと。
ヒラマサは、平仮名か?
漢字か?漢字なら平政と書くか?
あるいは
金比羅さんの
比羅という字に、真、

あとは、「さ」が浮かばないなぁ。とか。

ショアヒラマサ
ではダサすぎる。「撃投」と
どこかにいれることで、ショアであることを表現しようかとか

全長や、重さは
ほんとうに必要か?
なくていいんじゃないか?
どうせ、忘れないし。とか。
魚拓から漂ってくる凄みは、それだけで迫力十分だ。

やっぱり魚拓にして良かった。

私が釣った魚のなかでは2番目にうれしい。
一番はやはり、水温6度の雪代のなかで、わたしのフライをくわえてくれた、桜鱒。
ああいう釣りをしてきたから
こうして、わざわざオカから青ものを狙うなんていう
釣れない釣りに我慢できるのだと思う。
なかなか
釣れない。
だけど現にこうして、時として感動をくれる。
釣りはすべてが
感動をはらんでいると思う。
とくに、難易度が高ければ高いほど
執着したくなる。

わたしのバイブル「サクラマス大全」のなかの1節に次のようなものがあるんです
「釣りたくて釣りたくて本気で努力した人は必ず釣っている。できる範囲の努力でいい」

 

この言葉にすくわれた。
できる範囲ということば
川の近くに住んでいるわけでもない
好きなときに釣りに行けるわけでもない
釣行費だって限られている
だけど釣りたい。
フライで釣りたい。

 

やっと釣れてくれたときの感動は忘れられない。こんなにきれいな魚がいるのか

よくぞ俺のフライをくわえてくれた。
川のなかで、正座したくなった。

そんなことも思い出すんです。

 

 

去年に続いて、今回の佐渡島も西浦と運転を代わりながら北陸道をずーっと走る。北陸道はおもしろい。
川を渡るからだ。

福井北インターでの九頭竜川にはじまり
常願寺川だとか
神通川
もちろん最近話題の黒部川も

高速からちらっとみえる川の流れは
とてもそそられる。
春先はサクラマスにどっぷりの西浦ともども、走っていて飽きない。

小矢部パーキングで、鱒寿司を買って食べるのも楽しみのひとつ。

そんなこんなしているといつのまにか
新潟のフェリー乗り場についている。

遠いけど、近い。
だんだんそう思えるようになってくる。
フェリーにのれば
イメージはヒラマサに切り替わる

 

 

つぎに大型ヒラマサがきたらこうしよう。と、
今回、もし大型のヒラマサがかかれば、ファイトでは決めていたことがあります。

「リーダーの結び目が見えるまで、呼吸しない。筋肉をがっつり使ってあり得ないくらいの強引さで無酸素リフトしまくる」
でした。
根ずれの感触があろうが
魚が激しく首をふろうが
突っ走ろうが考えない。
俺は考えない。

泳いでる魚でメインラインを切りに行く
くらいの強烈な意識で浮かす。

 

昨年目視で確認できた佐渡のヒラマサのデカサは、普通の感覚では取り込めないと確信していたからだ。

 

 

同行者の西浦にも、そう伝えていた。

 
思い出すことがある。激風雨だった。撃投150グラムではボトムすらとれない状況。
長崎県上五島の帆上げの「スベリ」での経験。

目の前で馬場さんが当時プロトの烈波をヒラマサにまっぷたつに折られる瞬間を見た。

その直後、わたしの撃投200グラムを食いあげる強烈なバイト。想定外の魚が来て、対処できない。スベリとはよくいったもので
足場が海苔でヌルヌルですべる。わたしは怖くてしゃがんでしまった。
引き出されたラインは、根ズレで
あっけなかった。

 

あるときは、島根県隠岐。大森島の南。通称「大森南」で。撃投125グラムに鈍い重みがかかった。
普通のサイズではないことがわかった。
この魚も、怖かった。思わずラインをフリーに。
魚は何事もないように、ゆっくり泳ぎ続ける。
意を決して少し足場を確保して、ベールを戻しファイとした。

当時のわたしは今よりは筋力があったからガチンコのファイトだ。竿はウエダの名竿パワープラスGTだった。
ロッドエンドからリールシートにかけてが曲がっているのがわかった。

やがてリールが巻きにくくなった。
そうこうしているうちに、根にはいられ動かなくなり、それでも、根から出た瞬間をなんとか、リールを巻いたが追い付かない。
最後はフックオフ。カットヒラマサ24号と撃投ジグが上がってきた。

なぜリールが巻けないのか?

なんと、リールのシャフトが曲がっていた。
ファイトに時間をかけすぎた。
私たちの釣りは
船からとは違うのだ。

 

 

その二つの経験での後悔。

「筋肉がやられるまで、かかった瞬間から一ミリでも多く巻こう、一秒でも早く浮かそう。やりとりなんて考えない。ドラグは10~11キロでまずは制御する。腰は落とす。呼吸なんてしない。浮かす」

そう決めていた。

 

 

そんなことを魚拓を見ながら思い出していました。

ヒラマサがこっちをみている。
命を奪ってしまいましたが
こういう経験をさせてくれたことにほんとうに感謝です。

 

 

撃投 平政

新潟県佐渡島 一里島
釣り人 吉成秀人

現認者 西浦伸至
鉤 六八 – 三零

 
結局、墨で入れる文字は
そんな感じかなと思います。

 

 

長さも、重さも、そんなに気にならない。

ヒラマサであること
ショアからであること
釣りびと
ギャフ打ってくれたひと
ハリの名前
そんなところだろうか。

墨で
ごちゃごちゃ書きたくない。

 
前後しますが

九頭竜川で二尾バラシて
鳥取の千代川でやっと釣れてくれてサクラマス。
そのときも決めていたことはあった。

 

 

今回も、デカマサは2度の苦い記憶のなかから決めた「とにかく無呼吸で浮かす。考えない」
二尾のバラシから導かれた
三度めの正直から釣れてくれた魚だった。

 

 

北陸道をまた走って関西に帰る

秋にももう一回来たいなぁなどと話す。
リールも新しくしたいがまだまだ使えることは確信したから
リールを新しくするくらいなら
もう一度来よう。

最新のリールの軽さには驚くが
リールが重ければ
筋トレすればすむ話だ(笑)

 

セレナのコマーシャルではないが

「ものより思い出」

現場にたつ回数を多くしたい。

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釣りをしているから
印象深い想い出が積み重なる

やっぱり釣りは、旅なんだと思います。

 

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2016.06.28 10:06 | Categories:担当者より
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